娘が生まれてしばらくして、妻から一言言われた。
「学資保険、どうする?」
正直そのとき、学資保険というものをよくわかっていなかった。なんとなく「子どものためにお金を積み立てるもの」くらいの認識だった。
調べれば調べるほど疑問が出てきた。そして最終的に、学資保険ではなくインデックス投資(NISA)の方向で準備することに決めた。
この記事では、その理由を正直に書く。「学資保険 vs NISA、どっちがいい?」と迷っている親御さんの参考になれば嬉しい。
※この記事は特定の金融商品を推奨するものではありません。最終的な判断はご自身でお願いします。
この記事でわかること
- 学資保険の仕組みと返戻率の実態
- NISAとの返戻率・利回りの違い
- 大学までにかかる教育費の目安
- 私がNISAを選んだ理由
- 学資保険が向いている人・NISAが向いている人
まず知っておくべき:大学までにいくらかかるのか
教育費の話をする前に、ゴール(必要な金額)を確認しておく。
| 進路 | 大学4年間の学費目安 |
|---|---|
| 国公立大学(自宅通学) | 約243万円 |
| 私立大学・文系(自宅通学) | 約400万円 |
| 私立大学・理系(自宅通学) | 約500万円以上 |
※入学金・授業料・施設費等の合計目安。生活費・一人暮らし費用は含まない。出典:文部科学省「令和6年度学校基本調査」等をもとに作成。
国公立でも約250万円、私立理系なら500万円超が必要になる。この数字を念頭に置いた上で、学資保険とNISAを比べてみる。
学資保険とは何か
学資保険とは、毎月一定額の保険料を支払い、子どもが大学に入学するタイミングなどで「学資金」として受け取れる保険商品だ。
特徴を整理するとこうなる。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 仕組み | 毎月保険料を支払い→満期に学資金を受け取る |
| 返戻率 | 払った保険料の何%が戻るか(100%超=増える) |
| 保障 | 契約者(親)が死亡した場合、保険料払込が免除される |
| 元本割れリスク | 途中解約すると払込保険料を下回る場合がある |
| 受取タイミング | 18歳・大学入学時など決まったタイミング |
主要商品の返戻率(2025年時点)
返戻率とは「払い込んだ保険料に対して、受け取れる金額の割合」だ。
| 商品名 | 最高返戻率(条件付き) |
|---|---|
| 明治安田生命「つみたて学資」 | 最高129.2% |
| ソニー生命「学資保険(無配当)Ⅲ型」 | 最高123.5%〜127.4% |
| フコク生命「みらいのつばさ」 | 商品・条件による |
※返戻率は契約者年齢・払込期間・満期年齢などの条件により大きく変わります。上記は各社の最優良条件での数値。実際はこれを下回るケースが大半です。
最高クラスで129%。つまり100万円払えば最大129万円になる。一見いいように見える。
ただ、ここに落とし穴がある。
学資保険のデメリット3つ
① 返戻率129%は「最高条件」の話
返戻率129%を実現するには、「契約者が若い・払込期間が短い・年払い」などの条件が重なる必要がある。月払い・長期払込だと返戻率は下がる。実際のところ、多くの人が受け取れる返戻率は105〜115%程度に落ち着くケースが多い。
② 途中解約すると元本割れする
学資保険は長期間の契約が前提だ。途中で解約すると、払い込んだ保険料より少ない金額しか戻ってこない。10〜18年間、家計の状況が変わっても払い続けられる前提で加入する必要がある。
③ 受け取りタイミングが固定される
「18歳で受け取る」と決めたら、基本的にそのタイミングでしか受け取れない。子どもの進路が変わっても柔軟に対応しにくい。
NISAで積み立てるとどうなるか
NISAは、投資で得た利益に税金がかからない制度だ(通常は約20%課税される)。
インデックス投資(全世界株式・米国株式など)をNISAで積み立てた場合のシミュレーションを見てみる。
月1万円を18年間積み立てた場合(年利5%想定)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 積立元本 | 216万円(1万円×12ヶ月×18年) |
| 運用益(複利) | 約133万円 |
| 合計資産 | 約349万円 |
| 実質返戻率換算 | 約161% |
| 税金 | NISAなら0円(通常なら運用益の約20%) |
※年利5%は過去の全世界株式インデックスの長期平均を参考にした想定値。将来の運用成果を保証するものではありません。元本割れのリスクがあります。
月1万円でも18年続ければ、元本216万円が約349万円になる計算だ。国公立大学の学費(約243万円)は十分カバーできる水準になる。
月2万円なら?
| 積立額 | 18年後の資産(年利5%想定) |
|---|---|
| 月1万円 | 約349万円 |
| 月2万円 | 約698万円 |
| 月3万円 | 約1,047万円 |
※いずれも年利5%・複利・税金考慮なしの試算。
学資保険 vs NISA:正直な比較
| 比較項目 | 学資保険 | NISA(インデックス投資) |
|---|---|---|
| 返戻率・利回り | 105〜129%(条件による) | 運用次第(年利5%想定で約161%) |
| 元本割れリスク | 途中解約しなければ基本なし | あり(短期では損する可能性) |
| 途中解約 | 元本割れになりやすい | いつでも売却可能 |
| 受取タイミング | 決まったタイミング | 自由 |
| 税金 | 学資金受取時に一時所得として課税される場合あり | NISAなら非課税 |
| 死亡保障 | あり(払込免除特約) | なし |
| 向いている人 | 確実性を最優先したい人 | 長期で増やしたい人 |
私がNISAを選んだ理由
正直に言う。今の我が家はまだNISAを始められていない。銀行に現金を貯蓄しているだけだ。
ただ、学資保険を検討して調べた結果、インデックス投資(NISA)の方向で準備しようと決めた。理由は3つある。
① 長期で見れば学資保険より増える可能性が高い
娘はまだ1歳。大学入学まで17〜18年ある。これだけ長い期間があれば、インデックス投資の複利効果が十分に発揮される。学資保険の最高返戻率129%を、長期のインデックス投資は上回る可能性が高い。
② 途中で使いたくなったとき動かせる
学資保険は受け取りタイミングが決まっている。NISAなら必要なときに一部売却できる。子育てしていると「急な出費」が何度もある。その柔軟性は大事だと感じた。
③ NISAは利益に税金がかからない
通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかる。NISAを使えばこの税金がゼロになる。長期で積み立てるほどこの差は大きくなる。
学資保険が向いている人・NISAが向いている人
| 学資保険が向いている人 | NISAが向いている人 |
|---|---|
|
・元本割れが絶対に嫌な人 ・強制的に貯める仕組みが必要な人 ・万が一(親の死亡)に備えたい人 ・投資の勉強をする時間がない人 |
・長期で増やすことを優先したい人 ・途中で使える柔軟性が欲しい人 ・税制メリットを最大限使いたい人 ・ある程度のリスクを受け入れられる人 |
どちらが「正解」かは家庭の状況によって変わる。大事なのは「何もしない」を避けることだ。
よくある質問
Q. 学資保険とNISAは両方やってもいいの?
A. もちろん可能です。学資保険で「最低限の確実な備え」を作りつつ、NISAで「上乗せ分を増やす」という併用も選択肢の一つです。ただし毎月の支出が増えるので、家計とのバランスを見て判断してください。
Q. NISAは元本割れするリスクがあるって本当?
A. 本当です。特に積立期間が短い場合や、株価が大きく下落したタイミングで売却すると損になります。ただし、長期(10年以上)・分散・積立を組み合わせることでリスクを抑えられると言われています。元本割れリスクがある点は必ず認識した上で始めてください。
Q. 何歳から始めるのが遅すぎ?
A. 早ければ早いほど複利の恩恵を受けられます。子どもが5歳なら13年、10歳なら8年の運用期間があります。遅すぎるということはないですが、期間が短くなるほどリスクは上がります。
まとめ
学資保険とNISAの違いをシンプルにまとめるとこうなる。
- 学資保険:確実だが増え方は控えめ。途中解約に弱い。死亡保障あり。
- NISA:長期では増える可能性が高い。柔軟に使える。元本割れリスクあり。
私は娘が1歳のうちにこの比較をして、NISAの方向で準備することに決めた。まだ実際には始められていないが、「学資保険でいいか」と何も考えずに加入するよりは、選択肢を知った上で判断できた方がいいと思っている。
どちらを選ぶにしても、「何もしない」が一番もったいない。子どもが小さいうちほど、時間という最大の味方を活かせる。

